旅する柿の種

旅に出たり、美味しいもの食べたりするブログ。一人旅多し。

青根温泉「不忘閣」で贅沢な温泉満喫旅~前編~

宮城県川崎町の山の上(川崎町自体が山にありますが)に位置する青根温泉「不忘閣」は、かの伊達政宗も浸かりにきたという伝統ある温泉旅館。少し前になりますが、ある冬の日に、またも有給を利用し贅沢な温泉三昧の旅に出ました。

1泊の滞在でしたが、大満足の2日間になりましたので、前後編の2回に分けて書いていきたいと思います。

 

宿へは当初、車で行くことも考えましたが、冬山を私の拙い運転で登るのは不安が残るため、安全を優先しバスで行くことに。

15:00のチェックインに間に合うよう、お昼過ぎに仙台発の高速バスに乗ります。まずは乗車前に腹ごしらえ!笑

ブレアハウスで洋食ランチ→高速バスで移動

仙台の街中にある勾当台公園のすぐ近くにある「ブレアハウス」というイタリアンレストランでランチにします。このお店はイタリアンの定番メニューをリーズナブルな価格でいただけるお店。そしてメニューの種類も豊富なんです!私の口は早々に決めていました。今日はオムライスだ!と。


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ソースも数種類から選べるのですが、いつもデミグラスにしてしまいます。ランチセットなのでスープとサラダ、あと写っていませんがドリンク付。いわゆる最近はやりのとろとろっとしたオムライスではなく、かといって固すぎるわけでもなく、ちょうど良いふわっとした卵とチキンライス、そしてデミのバランスが本当に大好きで、ブレアハウスにくるといつもオムライスを頼んでしまいます。パスタや他のメニューも美味しいんですけどね。

お腹がいっぱいになったところで、遠刈田温泉行きの高速バスに乗ります。仙台駅前のバス停から乗ってもよかったのですが、せっかく勾当台公園近くに居たということと、平日金曜日とはいえ週末の温泉地行きのバスはもしかしたら混み合うかも…?という懸念もあり、始発の県庁市役所前から乗車しました。約1時間少々のバスの旅。

※走行ルートはこのとおりだったかはわからないけど、村田町は通っていた気がする。

終点のアクティブリゾーツ宮城蔵王で降車します。すると各旅館に向かうお迎えの車が何台か停まっており、そのなかに「不忘閣」さんのもありました。宿泊の数日前に電話連絡をして「何時の高速バスに乗ってアクティブリゾーツで下車します」と伝えており、その時間にあわせてお迎えにきていただけました。ちなみにチェックインが15時だったので、アクティブリゾーツに14時42分着の高速バスに乗りましたが、降車したらすでに待っていただいていました。ありがたい。

不忘閣までは10分くらいの乗車でした。アクティブリゾーツもまぁまぁ山なのですが、青根温泉さらに山の上。地図をみてもわかりますが、途中くねくねした山道を走ります。そして道路の脇には雪も残っており、自家用車で来なくてよかった…とすこしホッとしましたw

チェックイン

15時すぎにチェックイン。ロビーでお部屋とお風呂について説明いただきます。なんせ不忘閣はお風呂だけで5種類!それぞれのお風呂の場所も離れていたり、貸し切りだったり、入る時間が決まっていたりと、なかなか複雑です。全制覇するためには、この説明を聞きながら攻略法を考えないといけないですから!でも1回の説明ではなかなか覚えられなかったので、説明いただいた紙を写真に撮って、それを見ながら攻略していきましたw

時間も書いていただいたので、これを見れば1発。


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お部屋

チェックインが済むと、そのまま説明いただいた仲居さんの案内でお部屋へ。ちなみにこのとき案内してくださった仲居さんがとても親切で、「青根はここ数日寒いから、浴衣の上に羽織を着て歩いてくださいね」と気遣ってくださったり、館内ですれ違ったりするときには「蔵湯(貸し切り湯)入れましたか?」と声をかけてくださったりして、滞在中の心配りがとても素敵で。皆さんにそうやってらっしゃるのかもしれませんが、私がひとり客なのをもちろんわかっていらっしゃったと思うので、すごく嬉しかったです。

部屋に行くには、この扉の先の長い階段を上りきらないといけません。。。
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ちょっとした登山w何度もお風呂にいくと1日に何往復もしないといけないので、ちょっとしんどいですが、往復しなくても良いようにお風呂の近くにおやすみ処のような場所が設けられているので、お風呂をはしごするときなんかはそこで休憩したりしながら滞在すれば、そこまで苦ではなかったです。

通していただいたお部屋はこんなかんじ。ひとりなので十分広い。
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土間から上がったところにはお茶セット台(?)も。昔ながらの温泉旅館という感じで、テンション上がります。f:id:uchuno232:20220423222918j:image

襖を開けた窓からの眺めも最高でした!!夜は星がみえるかなぁ、なんて思いましたが、ちょっとこのあと天気が悪くなってきちゃったのであまり見えず。
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さて、山を眺めるのもよいですが、6種類のお風呂を制覇しないといけませんので、早速お風呂にいきます!

6種類の温泉

御殿の湯(大)(小)

貸し切り湯には洗い場がなかったりするので、まずは洗い場のある御殿の湯(小)に行き、身体を洗ってさっと湯に浸かります。

貸し切り湯ではないので写真はありませんが、小のほうは木で作られた小さめの浴槽で、何人か入るといっぱいになってしまいそう。幸いにも私が入ったときは誰もいらっしゃらなかったので洗い場も気を使わずに使えてラッキーでしたが。あと、こういう旅館てボディーソープやシャンプーってそんなに種類ないと思うのですが、ここには3種類くらい置いてあってびっくりでした!ここにしか洗い場ないからかな?

御殿の湯は大小2つありますが、時間での男女入れ替え制。大、のほうは夜に入りにいきましたが、小の浴室をそのまま大きくしたような空間でした。

亥之助の湯

御殿の湯(小)をあがると、貸し切り湯のひとつ、亥之助の湯が空いていたので、早速入ります!鍵をかけると、その先は完全貸し切り。ひとりでも無料で貸し切り風呂を使わせてもらえるという贅沢さ。

細い外廊下を通ると、ひとつの灯り。この先に小さい空間があって…
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そこには自分の背丈より小さいくぐり穴のようなものが。ここをくぐると、、
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小さい小屋のような空間に小さい浴槽が!!


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めちゃくちゃ良い雰囲気!みての通り小さい浴槽ですがひとりなので問題無し。外がちょっと見えるようになっている半露天のようなタイプで、外気を感じながら温泉独り占め。金曜日の夕方にひとり貸し切り温泉。幸せすぎる。仕事してる同僚のみんな、ごめんよ。

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本当はゆっくり浸かっていたい気持ちもあったのですが、貸し切りなのであまり長居せず…というか正直熱くてそんなに長湯はできません!この浴槽は温度高めでした。でも気持ちよかった。夜になったらまた空いていたので、もう1度入りました。


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夜も雰囲気があってとてもよかったです。

大湯

この旅館一番の名物といってもいい、大湯。私が滞在した間も人気で、常に誰かが入っているような状態でした。しかも男女入れ替え制なので、タイミングを逃すと入れない。私は夕食前と、翌日チェックアウト直前の二度ほど堪能しました。

貸し切りではないので写真は撮っていませんが、不忘閣のホームページに写真がありますのでそちらを是非。この旅館全体的にいえることですが、水面への照明の当て方がめちゃくちゃ綺麗で。大きな梁と大きな浴槽に、きらきらと光る水面。温度は亥之助の湯よりぬるめで、時間さえ許せばずーーっと入っていられるな、というお風呂でした。

もうひとつ、この「大湯」の特徴として、入り口を入って階段を下がっていったところに浴槽があるんですれども、特別”脱衣室”のような場所がなく、浴槽空間の端のほうに篭が並んでいて、そこで着替えるという仕組みです。昔ながらの感じなんでしょうか。今までこういう”脱衣室なしタイプ”は群馬の四万温泉の積善館(千と千尋湯屋のモデルになったんじゃないか?といわれている旅館ですね)にある「元禄の湯」で経験はありましたが、宮城県内の温泉では初めて。そのときは脱衣室がない、ということに面食らいましたがw、一度経験済みだったので今回はすんなり(?)受け入れました。初めてだとちょっとびっくりするかもしれないですね。

新湯

「大湯」と並び政宗の時代からあるという「新湯」は、男女入れ替え制で、私が滞在したときは女性は夜8時~でしたので、夕食をいただいたあとに入りに行きました。この御殿の湯(大)も歴史あるお風呂で、それこそ政宗の時代があると仰っていたような。

新湯は、大湯や亥之助の湯があるエリアからちょっと離れた、奥まった場所にあります。ちょっとした階段を下りて、『日本秘湯を守る会』の提灯の下がった先を進みます。静かでちょっと厳かな雰囲気…。

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「新湯」と表示がある扉を開けると、脱衣室があります。
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こちらも貸し切り湯ではないため写真はありませんが、浴槽自体は小さく、4人入ったらいっぱいになるような大きさ。しかしながら、石造りの本当に歴史を感じる空間でした。同じく歴史ある「大湯」は、浴槽の縁(?)は石造りでしたが、浴室自体は最近建て替えられた新しいものでしたが、こちらの「新湯」は空間そのものに歴史を感じました。実際どうなのかはわかりませんが、「新湯」のほうが古いんじゃないかな、というのは一目瞭然。名前は”新”湯なのに。この空間に何百年前から人々が癒やされてきたんだな…と思うとなんとも感慨深いものがありました。

私が入ったのは夜でしたが、浴室内に照明がほぼなく、かなり暗い中での入浴でした。このあと紹介する蔵湯も含め、どのお風呂も照明に拘りを感じたのですが、「新湯」についてはあえて暗くしているのかもしれません。それがまた良く、静かな暗い空間でのんびりお湯に浸かることができました。

蔵湯

さて!お待ちかねの蔵湯。蔵湯はフロントのところにある下記の札をゲットできたら入れるのですが、湯めぐりしながら何度も観に行ったのですが、なかなか空いておらず。f:id:uchuno232:20220515113143j:image

でも入らないでチェックアウトするのは絶対に嫌だったので、あまり人が行かないようときに…と考えて、夕食のすぐ後に見に行ってみたところ、ビンゴ!早速入りにいきます。

蔵湯への入り口に札を置いて、鍵を閉めて細い廊下を通ります。

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すると、(写真ではわかりづらいですが)半分外な空間に蔵が並んでいる、なんとも厳かな雰囲気。写真はありませんが、蔵の間に大崎八幡宮の御札が置いてある小さいお宮があったりして、夜だったのでちょっと雰囲気に飲まれそうになります、、、笑

ビビりながらも進んでいくと、蔵の重厚な扉と、「秘湯守る会」の提灯。
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扉を開けると…
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おおおおお!!これを独り占めできるというのは、、贅沢すぎません?最高だー!

この蔵湯も大湯と同じく、脱衣室のような空間があるわけではありません。でも問題ありません、だって貸し切りだもの。
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脱衣篭が置いてある側から撮った写真。十字に伸びる梁と、上から注がれる光できらきらする浴槽。湯船に入らずに思わず見とれてしまうほどです。
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お湯は透明に透き通っているので、浴槽の中まで光が届いています。実際入ってみるとやや熱めの温度なので、あまり長くは入っていられませんが(そういう意味では大湯はぬるめでちょうど良く、長湯できそうな温度でしたね)、時間制限があるのでちょうどよいのかもしれません。もしかしたら貸し切り湯はあえて熱めの温度設定なのかな?と思ったり。

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湯に浸かり、高い蔵の天井を見ながらこのお風呂に入ったとき、「贅沢だなぁ」と心底思いました。有料の家族風呂とかになってもおかしくないくらいの空間を、空いていれば(時間制限はありますが)私みたいにひとり泊の人間にも無料で入らせてくれるのは、本当にありがたいです!

梁には仕口の痕があったので、もしかしたら古材を使った梁なのかなぁ、などと、高い天井と梁を眺めながら考えを巡らせたりしました。

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お休み処

各お風呂は上の方に貼った館内図をみてもはわかるように固まった場所にあるのですが、いかんせん客室からは遠い。そこで、このおやすみ処を利用することで、客室をいったり来たりしなくとも湯めぐりができます。
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セルフサービスでお茶やコーヒー☕、ちょっとした柿ピーなんかもいただけますが、なんとお酒も置いてあるんです。なかなかないですよね。
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ちなみにこの旅館は客室にWi-Fiはないのですが、ここおやすみ処ではWi-Fiが繋がります。みなさん同じく湯めぐりをしていらっしゃるので、ここおやすみ処も常に人がいてなかなか一人でゆっくり、というわけにはいきませんでしたが、夜は人がいなかったのでここでのんびりさせてもらったりしました。

 

後半につづく。